さて、様々な経典があることを前回のブログで紹介しました。その中から、まず手始めに紹介するのは、「十三勢行功」にします。
一番有名なのは、王宗岳の「太極拳論」なのですが、これは、日本語で書かれた、銭育才氏の「太極拳理論の要諦」でそれなりに詳細に紹介されているため、後回しにすることにしました。
蘇峰珍氏の「行功心解詳解」という本が「十三勢行功」を200ページに渡って詳細に説明を加えています。これを読み解きながらいろいろな概念を紹介していきます。
「十三勢行功」は、行功心解、十三勢行功要解、王宗岳先生行功論、打手要言とも呼ばれます。このブログでは、蘇峰珍氏にならって、「行功心解(ぎょうこうしんかい)」と呼ぶことにします。
武禹襄の書いたものだとされることが多いのですが、王宗岳や李仲が書いたと考える人もいます。ネットで「行功心解」と検索しても、誰の著作かをはっきり書いた記載は見つかりませんでした。蘇峰珍氏もこの点については「行功心解詳解」で明確に示してはいません。
誰が書いたかは、興味はありますが、内容の理解に大きな影響を及ぼすものではありません。この「行功心解」は、王宗岳の「太極拳論」に並ぶほど伝統的な太極拳理論に最大の影響を及ぼしたものとされています。王宗岳の「太極拳論」の全体的な考え方を継承し、さらに内容を詳細に発展させたと評価されています。特に、「心」「意」「気」に関する叙述は、さらに深入りをし、体系的になっています。
「十三勢」という単語が繰り返し出てきましたが、これは、太極拳の主な動きの総称で、太極拳の別名です。
王宗岳の「太極拳論」では、推手の攻撃に関する話題に関する記述が多いのに比べて、「行功心解」は、套路をどう行うかに重点を置いて書かれています。文書の美しさからも太極拳を学ぶ人必読の文書だとされています。套路をより重視している私にとっては、こちらの方がしっかりと理解をしたい対象になります。
このブログでは、これからこの行功心解を「行功心解詳解」の説明に沿って、初めから一節一節紹介していきます。
(注)後半の解説は、余功保氏の「太極十三経心解」を参照しました。
これからもいろいろな話題を紹介していきます。
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