先日の夜、蚊に何箇所か刺されて、夜中に目が覚めてしまいました。ふと、教室を始めてから必要な教科書のようなものを用意しなければいけないなと思い立ち、痒みも手伝って、夜中に作業を始めました。
全くのゼロから書くのではなく、108式套路に関しては既に習いながら自分で溜めてきたメモがあるので、それを整理すれば良いのですが、今までは習うたびに書き足してきたので、形式が揃っていません。まずは形式を揃えるために、説明の前提や、どの部分に何を書くのかの説明を最初に書くことにしました。
前々から考えていたことなのですが、108式套路の個々の技の名前の表記をどうするか、をまとめてみました。
個人的には、せっかく中国の文化を学ぶのだから、中国語の発音を学びましょう、といいたいですが、私自身の発音もかなりいい加減なので、教え切る自信がありません。日本語の音を当てはめるルールがないため、何を参考にして決めれば良いのかよくわからないので、現実的な解決方法として、ピンインのカタカナ表記しかないのかな、という感じです。ピンインとカタカナの対照表も提示しし、そもそもピンインも併記しているので、生徒さん自身で本来の中国語を学ぶ準備はしていると考えています。
今回原稿に記載した内容はこんな感じです。
技の名前は、漢字表記に加えて、中国語の発音、広東語の発音、英語、日本語の4つで表示しています。漢字は、中国語の簡体字、繁体字ではなく、日本語で使われているものに改めました。
技の名前をどの言葉を基準として呼ぶかは難しい問題です。太極拳を習い続けて将来海外の人たちと交流を保つためには、中国語の発音で覚えるのが良いと思います。ただ、そのためには中国語の発音表記法であるピンインと四声(4つのイントネーション)を覚える必要があります。日本語は、中国語ほどはっきりとしたイントネーションが存在しません。また、中国語には日本語には存在しない音、日本人には区別が難しい音が散見されます。正しい中国語の発音を習得するには、かなりの時間と労力が必要です。著者の経験では、ある程度正しい発音になってもきちんと通じないことが結構あります。
教室で学ぶ太極拳は、先代から著者の師匠に基本的には広東語で伝えられました。そのため、著者が太極拳を習ったシンガポールの教室では、広東語で技の名前を呼ぶことも多く、また、套路をやるときの音楽に合わせた動作指示も広東語で録音されていました。この動作指示は先代が自ら行ったものであるため、中国語で吹き替え直すことを躊躇されてきたようです。
日本では、中国語の漢字に対して、日本語でよく使われると考えられる音(おん)を当てはめて読むことが行われてきました。例えば、日本語では、広州を”こうしゅう”と読みますが、中国語のピンインではGuǎng zhōu、これをカタカナに直すとグアン・ヂュオとなり似ても似つかないものになります。日本語の漢字には複数の音読みが存在し、そのうちのどれを使うべきかという規則は確定されていません。したがって、異なる人が変換作業を行うと、異なる表記になる可能性があります。英語の単語をカタカナ表記した時に誰もが従うべき正式なカタカナ表記が存在しないのと同じです。カタカナは表音文字なので、表記を行う人にどう聞こえているかに依存するためこういった問題が生じます。
将来の海外の人々との交流の可能性の芽を積まず、かつ学ぶ方々に過度の負荷をかけないために、そして学んでいる人が共通した名称を用いることができるようにするために、当教室では、中国語のピンインをカタカナ表記にしたものを正式な名前として採用します。
中国語の発音 | 中国語のピンインを表示しています。 |
広東語の発音 | 広東語に関しては、中国語のように統一されたピンインが存在しないため、漢展(https://www.zdic.net/)で示されている広東語の発音から、師匠及びシンガポール教室(以下「敬武学院」(https://www.jingwushuacademy.sg/)と呼びます)の生徒さんの発音に近いと感じたものを表示しています。 実際のサイトは下記のようになります。”粤语” が広東語に当たります。この例のように、複数のピンインが存在するケースがあります。 |
英語 | ”敬武学院”で使用している動作一覧表に記載されている名称です。独自に用意されたものなので、一般的に通用する保証はありません。 |
日本語 | 中国語のピンインをカタカナ表記にしたものです。中国語には日本語に存在しない音、日本語では区別がしづらい音が存在します。変換は、下記のサイトに基づいて行いました。 |
既に太極拳を学んでいらっしゃる皆さん、皆さんの学校ではどんな表記をされていますか?よろしければお聞かせください。
これからもいろいろな話題を紹介していきます。
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