套路ができるようになるまでの道のりはなかなか長いものです。今回から、具体的にどんな段階を踏んで套路ができるようになるのかをご説明していきます。初めて学ぶ方が、これから学んでいくものに対する時間軸のイメージを持っていただければと思います。
① 基礎体力をつける
② 他の人について、動きを真似ることができる
③ 他の人と一緒に、他の人を極力見ないで動くことができる
④ 自分一人で動くことができる
⑤ 動きをより正確にするために、修正を加える
⑥ 心を落ち着け、身体を十分にリラックスして動くことができる
いろいろな人の話から、多くの太極拳教室では、新しく参加する生徒さんも、すでに学び続けている人たちの中に入って見よう見まねで習っていくことが多いようです。そのため、膝の使い方、足腰の鍛錬などが十分にできず、膝を痛めることに繋がってしまうことが多いように感じます。
呉式太極拳教室「太極の小径」では、いきなり套路には入りません。まず最初にやるのは、基礎体力づくりです。基本功といっても良いのですが、套路の中に出てくる動きを取り出して、単純な動きにして、一つ一つの動きをきちんとできるようにします。
これで全てではありませんが、入門して最初に学ぶ基本練習はこんな感じです。動きは非常に単純なので、動きを記憶できなくて辛い、ということはありません。
非常に単純な動きなので、高齢の方で、套路はやりきれないけど、足腰を鍛えたい、という方が行うトレーニングのメニューとしても使えます。私がまだシンガポールで教えていた当時、脳溢血の後、体に障害が残っている方の個人レッスンをこの内容をもとにしてやったことがあります。初めのうちは歩くのも大変そうでしたが、3ヶ月も経つと、かなり改善をしました。
これらの動きをただ繰り返すだけでなく、将来的に怪我をしないように、正しくやれるように指導をしていきます。特に膝とつま先の関係、腰と踵の位置関係は、繰り返し修正をしていきます。
また、これらの動きをただ単にこなすのではなく、ゆっくりとリラックスをして行うことで、太極拳の動きに慣れていくこともできます。
1ヶ月も繰り返すと、階段を登った時の息切れがかなり解消させると信じています。
この練習の問題は、動きが単純なので、これだけをやっているとつまらなく感じてしまうことです。ある程度これらの動きに慣れてきたら、これらの練習と並行して、套路の習得を開始します。
(次回に続く)
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