太極拳の「経典」と呼ばれる書物は色々とあります。学び始めた当時から読み漁る必要はありませんが、套路を一通り覚えたぐらいから、少しずつ覗きみてると良いと思います。太極拳に対する理解が深まります。
このブログでは、不定期ではありますが、太極拳理論、太極拳の経典に関する情報を書いていきます。
余功保氏の「太極十三経心解」で紹介されているものはこんな感じです。そのうち、銭育才氏の「太極拳理論の要諦」に掲載されているもは太字で示します。( )内は、著者とされる人の名前です。
太極拳論(王宗岳)
十三勢行功(武禹襄)
太極拳十大要論(陳長興)
打手歌
四字秘訣(武禹襄)
五字訣(李亦畬)
十三勢歌(王宗岳)
太極拳九訣(楊班侯)
十三勢説略
太極拳経譜(陳鑫)
授秘歌
太極拳軽重浮沈解
太極拳説十要
普通、武術を学ぼうとすると、まずはどんな動きをするのか、を学ぶことから始めます。相手に打ち込むときはこうする、防御はこうする、それらができるようになるための練習は、こんなふうにする、っていう感じで学んでいくのが普通だと思います。写真付きで、太極拳の動きの解説をしている書籍は日本語でもいくつも出版されています。
それに対して、これらの経典は、外面的な動きについてはほとんど触れていません。昔書かれたものですから、当然動きを紹介する写真もありません。では、何が書いてあるのかというと、練習する時の心得、といったら良いかもしれません。太極拳の練習をする時には、こんなことに気をつけましょう、ということが色々と書いてあります。
それらの注意点の多くが外に現れる動きに関することではなくて、内面、つまり心や意識に関するものです。
太極拳を単なる運動と捉えて、体の健康のためにやる分には、これらの理論を学ぶ必要はそれほどないかも知れません。でも、単なる運動から一歩進んで、体と心を同時に鍛えるものと位置付けて向上を目指すためには経典を紐解いていく必要があります。
太極拳の経典は、宮本武蔵の五輪書や世阿弥の花伝書に通じるものがあると思います。それを読んだからといって、技が習得できるわけではありません。習得するための心得をいろいろな角度から書いてあります。
太極拳の経典は、古典中国語で書かれています。中国語を母国語として話す人たちもきちんと理解するのに苦労すると聞きます。ちょうど日本人でも日本語の古典をきちんと読むことができる人がそれほど多くないのと似ています。
このブログでは、これらの太極拳の経典を紹介していきますが、単に理解を助けるための意訳をつけるだけでなく、日本語に直して読むとどう読んだら良いのかを示すために、原文を訓読したものを合わせて紹介したいと思います。
訓読に関しては、正式に学んだことがあるわけではなく、さまざまな本を読んで独学をしただけですので、あくまでも試みの域を出ることはありません。内容を口ずさみ、記憶に残ることの一助となればと思います。
これからもいろいろな話題を紹介していきます。
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