基本功の中で、1丁目一番地最も基本になるのは前回のブログで書いた通り、スクワットだと私は考えています。基本功の中で最も重要なものは何かというと、本日ご紹介する七星勢(qī xīng shì / チー・シン・シ)です。
動き、と言えるほどではありませんが、下の写真のような形です。スクワットをした状態から、片足を前に出した姿勢です。前足の踵は地面につけただけ、体重を乗せいないようにします。したがって、体重を軸足だけで支えることになります。
なぜこれが套路をやる上で一番重要な基本功になるかというと、軸足一本で身体を支える訓練だから、と言えます。套路をやる上で、前進(上歩)、後進(退歩)、蹴るために足を上げた動作と片足で身体を支えなければいけない動作はたくさんあります。これらをいかに安定させて行えるかは、この七星勢がいかにきちんとできるかにかかっています。
うちの套路の中では、この姿勢がなん度も出てきて、これが動きの起点になることもままあります。そう言った意味でも重要な姿勢です。目の前に対峙する相手を想像して、その人の喉に向けて指を向け、隙を伺う、剣道で撃ち合う前の姿勢にちょっと似ていませんか?
やってみるとご理解いただけますが、結構きつい姿勢です。軸足にかなり負担がかかって、あまり運動の経験のない方が初めてやる場合には、数秒間耐えられれば良い方です。初めは数秒間しか耐えられなくても、筋肉がつき、姿勢が良くなってくることで少しずつ耐えられる時間が長くなってきます。中級者になると、このままの姿勢で120秒ぐらい耐えることができます。
足に負担がかかってきつい、というだけがこの姿勢のポイントではありません。腰と肩の捩れがあったり、お尻が後ろに出たり、しっかりと腰を後ろに引ききれず前足に体重がかかってしまったり、と色々な問題が生じます。
それらの問題を、一人一人治していくのも、教える立場の人間の役割です。七星勢をやる時、生徒さんの後ろになって、腰や肩を正しくなるように治していきます。体重が前係になっている場合には、腰を後ろに引くことで、軸足に体重を乗せる感覚を感じてもらいます。この修正をしてあげる感覚は、非常に微妙なタッチが要求されるので、一朝一夕ではなかなか身につきません。
この姿勢を自分がきちんとできるようになったことも、修行中の成果ですが、他の人が正しくできるような訓練をしっかり受けられたことは、さらに大きな資産だと思っています。
ちなみに、師匠が、この姿勢を基本功としてやっているのを他所では見たことがないと良く言います。確かにネットで「七星勢」を検索してもほとんど出てきません。でも、足腰の基盤を作り、姿勢を正しくし、心も落ち着かせる、と言う意味では、非常に重要だと私は考えます。私がこれから始める学校でも、これは欠かせないメニューの一つになります。
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