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執筆者の写真Mitch Sato

修行中に学んだこと 12 - 住めば都

当初の予定では、昨年の8月に本帰国して、東京で教室を始める予定でした。色々とあって、この2月までシンガポールでの滞在を延長しました。延長をするときに一番大きな障害になりそうだったのが、住むところです。


このところ、シンガポールの賃貸市場はかなり歪んでいて、完全に貸し手市場になっています。家賃の高騰はもちろんのこと、色々な条件が貸し手のいうがままになっています。6ヶ月なんていう短期の賃貸を了承してくれるお親がいるとは思えませんでした。


6ヶ月滞在を延長して教える人不足を解消する手伝いをすることを学校に約束するときに、一つだけ条件を出しました。学校に住むことです。ちょうど空いている部屋がなかったので、スタジオであれば大丈夫ということになりました。


不安材料は色々とありました。床はコンクリートに薄い木目調のシートを貼った程度のものです。かなり硬い感じです。スタジオなのでベットを入れるわけにもいかず、ヨガマットをひいて、その上で寝ることになります。もともと床の上で寝ることには抵抗はなかったのですが、これは流石にちょっと固すぎるのではないかと感じていました。


スタジオに防犯カメラが設置されているのも気になりました。見ようと思えば、自分が寝ている状態を他の人が見ることができるわけです(みたい人がいるとは思いませんが)。


一番気になったのは、病気になったらどうするのかということです。レッスンが行われている間、どこで体を休めたら良いのかわかりませんでした。最悪、自分でホテルを取らなければいけない状況です。


色々と不安はありましたが、どうしても我慢できなくなったら、帰国したらいいや、って割り切りました。サポートの手をこちらから差し伸べて、提供された住むところの条件がどうしても受け入れられなければ、サポートを止めればいいだけだと割り切りました。


住んでみたら、意外と快適でした。スタジオは当然かなりの広さです。こんな広くて天井の高いところで、一人で寝ることができる経験はなかなかないと感じました。


幸い病気にもならず、今日まで来ています。


何よりも、こんな環境でも生活をできるのだという自信がつきました。まさに住めば都です。うちの奥さんに、そんな環境で生活できるなら、どんなところでも生きていけそうだ、と言われました。


寝ることは、それほど問題に感じなかったのですが、料理ができないのは結構負担になりました。毎食外食するのは、かなり健康によろしくないように感じます。特に野菜不足になります。


本帰国をするにあたって何が嬉しいかというと、自分なり、奥さんなりが作った料理を食べることができるようになることです。


やっぱり今の環境は、正常な生活環境とはいえません。いい経験になったし、練習もすることができました。でも、異常な状態が長く続きすぎると、どこかに歪みが来るはずです。大きな病気になる前にこの状態から脱出できるのは、よかったです。



 

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