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執筆者の写真Mitch Sato

さよなら、社長


日本への本帰国の準備もかなり進んできました。会社の清算手続きは、昨年の12月31日付で最後の財務諸表を作成して、今は税理士さんが粛々と手続きを進めています。あとはお役所の認可を待つだけになっていますが、これには数ヶ月かかるらしく、最終確認は帰国後になります。


昨日は、会社の銀行口座を解約してきました。これがなくなると会社としての取引は一切できなくなるので、いよいよ会社の存在がなくなります。


実は、私、これでも社長です。社長といっても一人会社、自分以外の社員は一人もいない会社です。2016年に、シンガポールで設立しました。大きな会社にするつもりはなかったけど、日本と東南アジアの架け橋になるような仕事ができればいいと思って作りました。具体的には、日本のソフトウェア会社が自社の商品を東南アジアで販売する際の営業、マーケティングをお手伝いすることを生業にしていました。設立当時は、日系の会社が2社ほどお客様としてついてくれていて、バンコクやマレーシアへの出張も結構頻繁でした。


普段は営業職なのですが、バンコクでソフトウェア導入のプロジェクト・リーダーの仕事を請け負ったことがありました。その時は、6ヶ月間バンコクにアパートを借りて駐在しました。自分の会社で請け負った一番重かった仕事でした。詳しいことは省略しますが、かなり大変でした。でも、この間も太極拳の練習のために、2週間に一度、シンガポールに戻って、師匠に稽古をつけてもらい続けました。


コロナ禍以降は、出張ができなくなって、仕事がなくなり、いよいよ太極拳の教室を開こうと考えるようになってきたので、仕事はほとんどせず、太極拳の練習と教室で教える経験を積むことに注力するようになりました。会社は、シンガポールに滞在し続けるための資格を保有し続けるためだけのものになりました。


と言うことで、今となっては、愛着も何もない会社になってしまいました。でも、いよいよ閉めると言うことになるとなんとなく寂しいです。誰かにそう呼ばれたことは一度もありませんが、「社長」と言う肩書きもなくなってしまうことになります。


東京での太極拳教室は会社組織にする予定はありません。合同会社を作ることも考えましたが、少なくとも一人で教えている間は、メリットを感じませんでした。資金調達をする予定もありません。他人にお金を出してもらうよりは、自分が自由に、やりたいようにやれる環境を優先します。


これからは、肩書きによってではなく、自分が教える内容で評価される世界に入ります。私の出身であるシンガポールの教室も日本で知られているわけでもないので、その看板を背負ってもあまり意味がありません。


自分の実力だけで勝負をしていくこれから、なんだかワクワクします。とても楽しみです。



 

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