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執筆者の写真Mitch Sato

こんな教え方があったのかという気付き

この動き、单白莲(ダン・バイ・リエン)といいます。生徒さんの間では、うまくできなくて、練習をすることすら嫌がられることがあります。


この絵の状態から、右足を腰の高さまで上げ、左手を腰の高さまで下げて、右足で左の掌をける動きです。右足は膝を曲げながら弧を描くように上げていきます。この動きが嫌われる理由は、こんな感じだと分析しています。


  1. 左足の片足立ちになるので、グラグラしてしまいバランスを失って倒れそうになる。

  2. 片足立ちの時間が長いので疲れる

  3. 身体が固いので左手が右足に届かない。

  4. 無理に左手を右足に届かせようとすると、上半身を前傾させることになり、格好悪い


先日、入門クラスでこの動きの修正を行いました。このクラスの人たちはすでに108套路を一通り学び終えた人たちで、より正確に行うために個々の動きの修正を行っています。


実際に修正を行った直前のレッスンのおわりに、次のレッスンではこの動きの修正をやるよ、と予告をしたら、ブーイング。やりたくない、できない、きつい、などなど。その場では笑って済ませましたが、ここで一念発起。不可能な動きではないということをわかってもらえる方法はないかと考え始めました。


今まで師匠やほかのコーチが教えているのを見ていると、コツとして話していたのが、右足を上げるときに膝を自分の身体の方に引き付けてあげると、手と足の距離が縮まって、手が足に届くようになるというものでした。これ自体は正しいのですが、それでも届かない、という生徒さんからのご指摘。私自身も元々身体が固いので、生徒さんの言い分も十分にわかります。現在では自分はきちんと手が足に届くようになっているのですが、それは身体が少しは柔らかくなったのかな、程度にしか思っていませんでした。ここであきらめてしまっては、地道にストレッチをして柔らかくなるのを待ちましょう、というしかなくなってしまいます。


自分でこの動きを何度も繰り返しやってみて、いろいろと考えてみました。軸足である左足を膝を曲げないまっすぐな状態で右の膝をできるだけ挙げてみました。ある程度までは上がりましたが、足が手に届くところまではいきませんでした。この状態から左足の膝を曲げて、腰を落としてみました。左右の足の開く角度を変えないようにして腰を落とすと、右足をより身体に近づけることができることに気が付きました。


書いていて改めて感じますが、太極拳の動きを文章にするのは難しいですね。将来的には写真を併用するように改善します。


気づいた後に、改めて生徒さんの動きをじっくりと見てみたら、右足を上げるときに、腰が上に持ち上がり、左足がほぼ垂直になるまで膝が伸びていました。


実際に修正を行ったレッスンでは、右足を上げるときに、左の膝を伸ばさない、曲げたままにする、という練習を繰り返し行いました。きちんと座ってくれれば、足と手の距離は縮まります、と繰り返し説明して、理屈をわかってもらったうえで反復練習をしました。


30分ぐらい練習をした後、まだ完全ではありませんが、なんとなく形になってきました。何よりもよかったのは、ほとんどの生徒さんが、この動きは不可能な動きではないと感じてくれたことです。


生徒さんによって先生が鍛えられるっていうのは本当ですね。なんでできないのか、どうしたらできるようになるのかを、自分の経験と知識をフルに使って考えていくことで、より良い教え方を発見できるということを改めて感じました。


最近、ある映画を見て、「現象には理由がある」というセリフを何度も聞きました。僕は「できないことには理由がある」と信じて、どうしたらできるようになるかを考えるようにしています。



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