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執筆者の写真Mitch Sato

「足の裏は語る」平沢彌一郎著③

少し疑問を感じた内容です。


「左足には全身を支える主軸性と進行を定める方向性とがあり、右足にはスピードのコントロールと攻撃性、起用性などの運動性がある。。。足の裏の面積は、左足の方が右足よりも大きい。。。この差異は、左足は全身を絶えず安定させるための支持役を果たしているから」


この内容について、平沢氏は利き足には関係なく一定だと話しています。根拠はありませんが、なんとなく納得できない感じがします。


しゃがんだ状態から片足を前に出す動きをしたとき、私の場合には右足を軸足にした時の方が、左足を軸足にした時よりも安定感がありました。


平沢氏は、世界中の非常にたくさんの人の足の裏を観察して来た方なので、その発見はそれなりに真実なのだと思います。ただ、たくさんの人がこうだったからこれが真実だ、という帰納法的なアプローチです。サンプルが限られている上、こうあるべきだ、という法則が先に決まっている太極拳の世界は演繹法的なアプローチになってしまうので、ギャップを感じるのかもしれません。


一流になりたければ、左右の足の役割はどうあれ、どちらの足も同じように自由に使えるようになりたいものです。平沢氏の観察して来た人の多くは一般の人、自分が目指しているのは更なる高み、そこからギャップがきているとも考えられます。



この本を紹介し始めたときに書いた引用「最近、直立能力の判定結果から見るに、現代人の立ち構えが怪しくなってきたようである。。。現代人が立ったとき、足の裏に落下する重心の位置がだんだん踵寄りに移行し始めて来たのである。これは現代人の立ち構えがいわゆる「ふんぞり返り」の傾向にあることを示す」について少し考えてみます。


これも自分が普段観察している太極拳教室の生徒さんから受ける印象とは異なります。多くの生徒さんは、足の前側に体重がかかっていると私は感じています。


高岡英夫氏が「究極の身体」でこんなことを言っています。


「『足』の中心は脛骨の真下になる」


つまり重心の位置は踝の真下ということになります。これは私の感覚ともぴったりします。高岡氏の本を読んでいると、一般的な体とあるべき体を区別しています。この二冊を比べると、平沢氏の本は、一般的な人の体の観察から学べること、高岡氏の本は、目指すべき体を教えるもの、という役割の違いがありそうです。


すでに書いた通り、この平沢氏の本は、私が過度に期待をしたために、かなり肩透かしとくらった感じで読み終わりました。もう少し、本を購入して読み始める前に、Amazonの書評や、その本の前書きをきちんと読んで、時間をかけて読むだけの価値があるのかを判断してから読み始めるように心がけたいものです。


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