海外で太極拳を学ぶのであれば、普通の人は、中国もしくは台湾に行くでしょう。その方が本場で学んぶことで、付加価値が高まるような気がします。
最近は、アメリカでも太極拳は流行りのようで、色々な教室があるようです。アメリカに転勤になって、たまたまそこで太極拳を学ぶっていうことはあっても、太極拳を学ぶためにアメリカに行くっていう人はそんなにいないと思います。
私の場合も、太極拳を学ぶためにシンガポールに来たわけではありません。たまたまシンガポールで求人があって、その仕事をするためにシンガポールに移住しました。そこで出会った太極拳およびその師匠が本格的なものだったため、それに没頭することになりました。
最も、初めのうちは、習っている太極拳が本格的なものかどうかなんて判断はつきません。やり始めたから続けていた、気がついたら9年間もやっていた、っていう方が正しいです。
なので、自分がシンガポールで太極拳を学んでいる理由は、どんなことを言っても後講釈の域を出ません。そう言いつつも、少しでも自分の行動を正当化しようと試みてみます。
まずは、シンガポールは、中華系の人の割合が圧倒的に多いこと。中国語だって普通に話されています。最も若い人たちの間では、英語への傾倒が強く、漢字が読めない人も増えているらしいですが。
この国の中華系の人たちは、中国、特に南部からの移民が多いです。移民の人たちって、本土に残った人たちよりもかえって伝統を重んじて、後世に残していこうとする努力をすることがあるようです。中国本土からシンガポールに遊びにきていた若者が、旧正月の時の中華街の飾り付けを見て、中国では見なくなった光景だと言っていました。
西洋由来の医療のほかに、中華系の人たちの中で伝統的に培われたきた、TCM (Traditional Chinese Medicine) と呼ばれる中医学に基づいた医療が広く利用されています。西洋由来の医療機関にかかった後、診察の内容が受け入れ難かったり、改善が見られなかったりすると、中医学の門を叩くことはよくあるようです。最近は、この中医学の先生たちが、太極拳をやると良い、と進めているようで、うちの学校にもそれが理由で通い始めた生徒さんが何人もいます。
そんな環境なので、中国で名高い太極拳の先生が、東南アジアに出張してきて、太極拳を教えることもかなりあったようです。私の師匠の師匠は、呉式太極拳の創始者の長男、「呉公儀」がシンガポールに来ていたときに、呉式太極拳を直接習ったそうです。
シンガポールで学ぶ積極的な理由が何かないかと言うと、中国語だけではなく、英語で学べること、住環境が良好であること、が挙げられるます。シンガポールは、最近でこそ物価が高くなってきましたが、治安の面では全く問題を感じたことはありません。英語ができれば、太極拳をきちんと学べると言うのも、私も含めて、中国語ができない人にとってはありがたいです。
つらつらと書いてみましたが、やっぱり後講釈ですね。それほど知見があるわけではないので、比較をしてみても、なんとなく説得力がないです。中国に行って直接学ぶよりも良い、という理由には全くなっていません。
それどころか、日本で本格的に太極拳を学んだこともないので、日本で学ぶのに比べて良い環境にいるのかの判断だってつきません。
シンガポールから持ち込んだ太極拳だから是非やってみましょう、って言うことに繋げるのはかなり無理があります。
教室の良し悪しに、学んだ国に関係ない、と言うのが今日の結論です。どんな師匠から、どんな学校で、どんな内容を学んだか、それをいかに伝えることができる訓練を受けているか、の方が重要です。もちろん、教室を運営している人(つまり私)の性格とそれとの相性も重要な要素ですね。前者については、これからのブログで紹介をしていきます。後者については、一度教室までぜひ足を運んで、ご自身で判断していただければ幸いです。
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